ちぎったメモの端っこに

明るい日も、暗い日も

はは

母が何の悪気もなく尋ねて来た。「結婚したいとか思うの?」

いつも通り答えた。「想像しかしたことなくてしたいわけじゃないかなぁ。」

母はなるほどねと笑った。「子供かわいいよー」と続けた。

 

今でこそ仲良く過ごせてる母との関係も、大人になり、ある程度の距離感が保てるようになったからだと思う。若い時、と言うよりも学生時代。母のことを好きだったかと言われると、即答できないのが正直なところだった。

 

今でこそ理解できる言動もあるし、いまだに理解できない言動もある。人を育てるということが、どんなに責任が伴うもので、神経がすり減るものなのかを計り知れないことだなとつくづく感じている。自分の人生にも責任を取れていないような気がして、子供を育てると言う事は全くと言っていいほど考えられないし、選択肢にもない。

 

母になった友人たちを見て、うらやましいと言う感情よりも、すごいと言う感情と頑張り屋さんだなぁといった蚊帳のような感情でいっぱいになる。

 

こどもを可愛らしいと思う事はある。でも自分の子供となれば別。かわいいだけで、世の中を生きてはいけない。甘やかしてばかりで育てれば、誰かに危害を加えるかもしれない。大人になるって最高だと思う反面、知りすぎて嫌だなぁと思うことも多い。

 

母は「いいんじゃない?」といった。「もう少し歳を重ねた後に結婚したいなぁとか、子供が欲しいなぁと思ったら、それはそれで考えれば良いし、最終的にすべて選ばなかったとして、友達とかが羨ましく見えるようになったとしても、結婚していなくて、子供がいないあなたのことを羨ましく思う人だっていると思うから。お互い様やね、したいようにしたらいいよ」と続けた。

 

母、すごいなあ。でもその後にまた子供はかわいいよと言っていた。本音を押し付けないでくれて、ありがとう。